2026/09/02

C 言語の可変引数マクロ

C 言語の debug で画面表示やデバッグログ出力などで、 関数にするとオーバーヘッドがかかってしまう場合によく利用されるのが #define によるマクロ定義です。

  1#define     debug       fprintf(stderr, "debug");
    
この様に定義する事でコンパイル時(正確にはコンパイル時に実行されるプリプロセッサにより)に debug は fprintf(... に置き換えられます。
  1#define     debug       fprintf(stderr, "debug")
  2    :
  3    :
  4debug;
    
この方法では fprintf(3) には情報を渡せませんが C 言語のマクロ定義は関数の形式で定義すると引数を渡す事が可能です。
  1#define     debug(_arg)     fprintf(stderr, _arg)
  2    :
  3    :
  4debug("error")
    
この様に定義する事でマクロ debug を経由して fprintf(3) に引数を渡すことができます。 ただし、引数の数は固定なので frpintf(stderr, "error: %d", errno) の様な処理は出来ません。 そこで便利なのが可変の引数を受け取りマクロを定義する __VA_ARGS__ です。 この __VA_ARGS__ を指定する事でマクロに可変引数を指定する事ができます。
  1#define     debug(...)      fprintf(stderr, __VA_ARGS__)
  2    :
  3    :
  4debug("error\n");
  5debug("%s %n\n", name, errno);
    
指定方法はマクロ定義の仮引数リストの可変部分に省略記号 (...) を指定し、 置換される文字列部分では __VA_ARGS__ を指定するだけです。 省略記号の ... は本当にドット . を 3 個つなげて書きます。
  1#ifdef      DEBUG                                           \
  2#define     debug(...)                                      \
  3{                                                           \
  4    FILE    *_fp;                                           \
  5                                                            \
  6    if((_fp = fopen("ログファイル", "a")){                  \
  7        fprintf(_fp, __VA_ARGS__);                          \
  8        fclose(_fp);                                        \
  9    }                                                       \
 10}
 11#else
 12#define     debug(...)
 13#endif
    
この様なマクロ定義をしておくことでコンパイル時に DEBUG が定義された場合 (コンパイル時に -D DEBUG が指定された場合)でログファイルへの書き込みが可能な場合は ログファイル にログを出力させる事ができます。
マクロは 1 行で記述する必要があるので改行は \ でエスケープしています。 もちろん C 言語の文法的には改行なしで書いても全然問題ないですが、 解読性のために改行を追加しています)。

__VA_ARGS__ は 1999 年に制定されたC言語の国際標準規格 ISO/IEC 9899:1999 (C99) で公式に導入されたので現在では完全に合法な記法で安心して利用できます。 ANSI X3.159-1989 (C89) までは __VA_ARGS__ が導入されていなかったので 引数の数に応じて複数のマクロを定義したりする必要がありました (それならちゃんと可変引数の関数定義したほうが良いですよね...)。
  1#define     debug1(_arg1)           fprintf(stderr, _arg1);
  2#define     debug2(_arg1, _arg2)    fprintf(stderr, _arg1, _arg2);
  3    :
  4    :
    

2026/09/01

C言語のビット演算

はじめに

かつてメモリーが非常に高価な時代に 1 ビットで表現できる 「オン」か「オフ」などの状態はビットによる状態保持がほぼ常識となっていました。 プロセッサにビット演算の機能が搭載されていて ビット演算が非常に高速だった事も普及に拍車をかけていたと思います。 しかし、メモリを含むコンピュータリソースが安価になり、 プロセッサの処理性能が高速になった今の時代に敢えてビットで状態を保持する意味はあまりないと思いますが、 ビット演算について学ぶのは良いことだと思います。

ビット演算

ビット演算はデータをビット単位で操作するための演算方法です。 他にもいくつか種類がありますがここでは C 言語に演算子が用意されているビット演算を紹介します。

ビット演算子

論理積

論理積は AND と呼ばれる演算です。 2 つのビットで双方が 1 の場合のみ 1 となります。
特定のビットの状態を検査する時に多く利用されます。

C 言語の演算子は & で示されます。

  11 & 1 = 1
  20 & 1 = 0
  31 & 0 = 0
  40 & 0 = 0
                    

論理和

論理和は OR と呼ばれる演算です。 2 つのビットのどちらかが 1 の場合に 1 となります。
特定のビットを 1 にする場合に多く利用されます。

C言語の演算子は | で示されます。

  11 | 1 = 1
  21 | 0 = 1
  30 | 1 = 1
  40 | 0 = 0 
                    

排他的論理和

排他的論理和は XOR と呼ばれる演算です。 2つのビットが異なる場合に 1 となります。
ビットの違いを検出する場合に多く利用されます。

C言語の演算子は ^ で示されます。

  11 ^ 1 = 0
  21 ^ 0 = 1
  30 ^ 1 = 1
  40 ^ 0 = 0
                    

否定

反転演算子は NOT と呼ばれる演算です。 ビットの状態を反転させます。 1 なら0、0なら1となります。

C言語の演算子は ~ で示されます。

  1~ 1 = 0
  2~ 0 = 1
                    

シフト

ビット列を左右に移動させます。 左シフトは指定された数だけビット列を左に移動、 右シフトは指定された数だけビット列を右に移動します。 移動してできたスペースには 0 か 1 が挿入されます。 2 のべき乗の乗算、除算に多く利用されます。

C言語の演算子は << 、>> で示されます。

  11 << 2 = 4
  21 << 4 = 16
  34 >> 2 = 1
  416 >> 4 = 1
                    

ビットマスク

ビットマスクは、ビット演算を使って特定のビットを操作するための方法です。 ビットマスクを使用することで、データの特定のビットを効率的に抽出、設定、 またはクリアすることができます。

実際の演算

実際に C 言語で行うビット演算のスニペットです。

ここでは 8 ビットの変数 flags に対してのビット操作を例として示します。

変数 flags の右から 2 番目のビットを 1 にしたい場合。

右から 2 番目のビットは 2 進数で 0000 0010 と表現されます。 これは 16 進数では 0x02 と表現できるのでビットマスクは 0x02 となります。 ビットを 1 にするには論理和 (|) を取ればいいので以下のスニペットになります。

  1/* 変数 flags の右から 2 番目のビットを 1 にする */
  2flags = flags | 0x02;
            
C 言語では演算した結果を変数に戻す場合は 演算子 + = という記法が利用できるので 以下の様に |= と短く記述できます。
また 0x02 のような定数 (多くの場合マジックナンバーと呼ばれます) をプログラム中に直接書くのは有害な事とみなされ (considered harmful) ていますので、 同じく C 言語のマクロ機能で名称を付与するのが良い方法といえるでしょう。
  1#define     MASK        0x02
  2
  3flags |= MASK;
            
元の変数 flags の値がどの様な値であっても 右から 2 番目のビットが 1 になる以外の影響はありません。 右から 2 番目のビットが元々 1 の場合は何も変化はありません。

変数 flags の右から2番目のビットが 1 か確認したい場合。

ビットが 1 かを確認するためには論理積 (&) を取ればいいのでビットマスクと論理積を取ります。 ビットマスクは右から 2 番目のビットだけが 1 なので 変数 flags の右から2番目のビットが 1の場合は 1 となります。 他のビットはビットマスクが 0 なので 0 となります。

  1/* 変数 flags の右から2番目のビットが 1 か確認する */
  2if((flags & MASK) != 0) {
  3    /* 右から 2 番目のビットは 1 */
  4}
            
C言語の if 文は言語仕様として 0 か 0 以外かの判定なので短く書くこともできます。
  1/* 変数 flags の左から 2 番目のビットが 1 か確認する */
  2if(flags & MASK) {
  3    /* 左から 2 番目のビットは 1 */
  4}
            

変数 flags の右から 2 番目のビットを 0 にしたい場合。

ビットを 0 にする場合は少しだけ複雑になります。 他のビットに影響を与えずに右から 2 番目のビットを 0 にする場合は 0000 0010 の反転した値 1111 1101 と論理積を取ることで実現できます。

変数 flags の値 1010 1010
ビットマスクを反転した値 1111 1101
論理積の結果 1010 1000
  1/* 変数 flags の右から 2 番目のビットを 0 にする */
  2flags &= ~MASK;
            

シフト演算

左シフト演算は乗算に利用できます。 左に 1 シフトすると溢れがなければ元の値が 2 倍になります。 一番右側には 0 が挿入されます。右シフト演算は除算に利用できます。 右に 1 シフトすると元の値が 1/2 になります。 一番左側は符号付きの場合は符号桁が継承され(算術シフト)、 符号なしの場合は 0 が挿入され(論理シフト)ます。 かつてはプロセッサの乗算、除算能力が極端に低い場合があったので、 2 のべき乗の演算にはよく利用されましたが、桁溢れの処理が煩雑になる事やコードが直感的ではない事、 プロセッサの性能向上などにより最近では推奨されない使い方になっているようです。 現在では後述の可搬性のあるビットマスク生成のために利用される事が多いです。

変数 i と j の値を入れ替える。

以前は高速でメモリ使用量を極小にしたまま変数の値を入れ替える事ができると言われていたアルゴリズムです。 2 つの変数に排他的論理和を 3 度繰り返す事で他の変数を使用する事なく値を入れ替える事ができます。

このアルゴリズムは i 、j において (i XOR j) XOR j = i が成立する 排他的論理和の対称差という性質を利用したものです。

現代では却って遅くなる場合があると言われていますし、 浮動小数点型の変数では利用できません。 そもそも処理内容が見た瞬間には判りずらいので推奨されていません。

  1int     i,
  2        j;
  3
  4i ^= j;
  5j ^= i;
  6i ^= j;
            
ちなみに値が十分に小さい整数の場合は以下の四則演算でも同様の結果となりますが、 値が大きくなると算術オーバーフローが発生するおそれがあるのでこちらも強く非推奨です。
  1int     i,
  2        j
  3
  4i = i + j;      /* i += j */
  5j = i - j;
  6i = i - j;     /* i -= j */
            

ビットマスクについて

上の例では変数 flags を 8 ビットと仮定して C 言語のコードを記載しましたが、 C 言語では変数の実際のサイズは厳密に定められていません。 例えば char 型の変数は最低 8 ビット必要、 int 型の変数は最低 16 ビット必要としか規格では定まっていません (現在世の中にある C 言語の処理系で char が 8 ビットではない、 int が 32 ビットでない処理系は多分存在しないと思いますが...)。
ただし最近の 64 ビット CPU では int が 32 ビットではなく 64 ビットとなっている場合があるので要注意です。

ですので int 型変数の一番左のビットを操作するためのビットマスクとして 32 ビットを仮定して 0x80000000 を指定すると想定とは異なった挙動となってしまう可能性があります。

  1#define     MASK        0x80000000
  2
  3unsigned    long    flags;
  4
  5/* 変数 flags の一番左のビットを 1 にする */
  6flags |= MASK;
        
この様に処理系依存の数値でも正しく動作するためには、 ヘッダーファイル limits.h で定義されているマクロを利用します。 たとえば unsigned long 型の変数に格納できる最大の数値は マクロ ULONG_MAX に格納されているので、 unsigned long の変数に対するビットマスクでは以下の方法で指定するのが可搬性があり安全な方法です。
  1#include    <limits.h>
  2
  3#define     MASK        ~(ULONG_MAX >> 1)
  4
  5unsigned    long    flags;
  6
  7/* 変数 flags の一番左のビットを1にする */
  8flags |= MASK;
        
ちなみにC99 (ISO/IEC 9899:1999) では変数については以下の項目しか規定されていません。
  • 整数として表現できる範囲の大きさは以下の関係
  • singed char ≦ short int ≦ int ≦ long int ≦ long long int

  • singed char の大きさは 8 ビット以上
  • short int の大きさは 16 ビット以上
  • int の大きさは 16 ビット以上
  • long int の大きさは 32 ビット以上
  • long long int の大きさは 64 ビット以上
規格として char を符号付きか符号無しか規定していません。

未定義なので鼻から悪魔を出しても(nasal demons) 仕様には反していません。

2026/08/31

RECHARGE/中村屋 サイクロンアース

走行距離が 40,000Km を超えたので、 煤対策の一環として RECHARGE/中村屋のサイクロンアース を取り付けました。
こちらの製品は

  1. バッテリー/ボディー間
  2. バッテリー/エンジン(EGRバルブ)
  3. コモンレール付近
の 3 種類のアースケーブルががワンセットになっている製品です。
車種専用品なので CX-5 に最適な長さとなっていて当然無加工で取り付けが出来ます。

Image: 20260830_010425751_iOS.JPG

施工前

バッテリー/ボディー間はオリジナルのアースと並行して装着します。
バッテリー側は電流センサーの下流につける必要があるとの事なのでこの位置に取り付けます。
バッテリー側とボディー側で穴のサイズが異なるので作業時には注意が必要です (バッテリー側の穴の方が一回り大きいです)。

Image: 20260830_012440850_iOS.JPG

バッテリー/ボディー間

バッテリー/エンジン(EGRバルブ)は CX-5 後期型では取付位置が異なる様なので要注意です。
エンジン側の 10mm ボルトは結構固く締まっていましたが、 奥まっていてラチェットレンチが入らないので若干苦労しました。
ストレートタイプのメガネレンチがあると作業しやすいです。
バッテリー側はボディー間同様電流センサーの下流に取り付けます。
ブラブラするのが嫌なので増し締めした後で並走するパイプとタイラップで軽く固定しました。

Image: 20260830_012749098_iOS.JPG

バッテリー/EGR バルブ


Image: 20260830_013259857_iOS.JPG

EGR バルブ側取り付け部

コモンレール付近はエンジンとボディーを接続します。
特に難しい事はありませんがボルトを落とさない様注意します。

Image: 20260830_013338987_iOS.JPG

コモンレール付近


Image: 20260830_013320699_iOS.JPG

エンジン側


Image: 20260830_013328183_iOS.JPG

ボディ側

エンジンカバー装着前の全体像です。注意して見ると認識できる感じです。

Image: 20260830_013522713_iOS.JPG

エンジンカバーなし

エンジンカバーを装着すると更に判りづらくなります。

Image: 20260830_013616564_iOS.JPG

エンジンカバーあり

装着して試乗してみましたが何となくスロットルレスポンスが良くなった様な...(プラシーボ?)
一番期待しているのは煤対策なので暫く様子見ではあります。

2026/08/27

Linux ネットワークプログラミング

Linux 上で動作するネットワーク関係の C プログラムのスニペットです。
一部のコードは Linux 固有の機能を使っていますので残念ながら Linux 上でしか動作しません。 一応の動作確認は実施していますが、処理の概要を示しただけなのでエラー処理等は省いています。 実際に製品に組み込む場合はエラーチェック処理は必須です。

指定されたインタフェイスの情報を取得する

オープンされた L3 層の UDP ソケット (ネットワーク層) に対して ioctl(2) を発行する事で各種情報をカーネルから取得する事ができます。 ここでは例として以下の情報を取得して表示するコードを示します。

  • アドレス
  • ネットマスク
  • MAC アドレス
  1/* ioctl(2) 用に socket を作成 */
  2if((sock = socket(AF_INET, SOCK_DGRAM, 0)) >= 0){
  3    const   char    *ifname = "eth0";
  4    struct  ifreq   ifr;
  5    
  6    /* ioctl(2) 用にインタフェイス名をセット */
  7    memset(&ifr, 0, sizeof(ifr));
  8    strncpy(ifr.ifr_name, ifname, IFNAMSIZ - 1);
  9
 10    /* ioctl(2) を発行して IP アドレスを取得 */
 11    if(ioctl(sock, SIOCGIFADDR, &ifr) >= 0){
 12        struct sockaddr_in *src_ip_addr = (struct sockaddr_in *)&ifr.ifr_addr;
 13        printf("IP Address: %s\n", inet_ntoa(src_ip_addr->sin_addr));
 14    }
 15
 16    /* ioctl(2) を発行してネットマスクを取得 */
 17    if(ioctl(sock, SIOCGIFNETMASK, &ifr) >= 0){
 18        struct sockaddr_in *netmask_addr = (struct sockaddr_in *)&ifr.ifr_netmask;
 19        printf("Netmask: %s\n", inet_ntoa(netmask_addr->sin_addr));
 20    }
 21    /* ioctl(2) を発行して MAC アドレスを取得 */
 22    if(ioctl(sock, SIOCGIFHWADDR, &ifr) >= 0){
 23        unsigned    char *mac = (unsigned char *)ifr.ifr_hwaddr.sa_data;
 24        printf("MAC Address: %02x:%02x:%02x:%02x:%02x:%02x\n",
 25                mac[0], mac[1], mac[2], mac[3], mac[4], mac[5]);
 26    }
 27}
    

指定されたインタフェイスの対向アドレスを取得する

指定されたインタフェイスが Peer to Peer の場合はローカルと対向の IPv4 アドレスを取得します。 指定されたインタフェイスが Peer to Peer 以外の場合はどちらも同じ値となります。 L3 層の DGRAM ソケット (UDP ソケット) を使用しているので通常のユーザにも実行可能です。

  1if((sock = socket(AF_INET, SOCK_DGRAM, 0)) >= 0){
  2    const   char    *ifname = "eth0";
  3    struct  ifreq   ifr;
  4
  5    /* ioctl(2) 用にインタフェイス名をセット */
  6    memset(&ifr, 0, sizeof(ifr));
  7    strncpy(ifr.ifr_name, ifname, IFNAMSIZ - 1);
  8
  9    /* ioctl(2) を発行して自分自身のアドレスを取得 */
 10    if(ioctl(sock, SIOCGIFADDR, &ifr) >= 0){
 11        struct sockaddr_in *sin = (struct sockaddr_in *)&ifr.ifr_dstaddr;
 12    }
 13
 14    /* ioctl(2) を発行して対向のアドレスを取得 */
 15    if(ioctl(sock, SIOCGIFDSTADDR, &ifr) >= 0){
 16        struct sockaddr_in *sin2 = (struct sockaddr_in *)&ifr.ifr_dstaddr;
 17    }
 18}
    

指定されたインタフェイスと通信可能なアドレスの一覧取得

こちらは Linux 特有の NetLink という仕組みを利用して 指定されたインタフェイスの ARP テーブルを参照して通信可能な IPv4 アドレスを取得します。 サンプルではチェック処理などを省いていますが、 実際には環境によって大量のアドレスが取得できるので受け取り側のオーバーフローには要注意です。

  1const       char    *ifname = "eth0";
  2unsigned    int     index = if_nametoindex(ifname);
  3
  4if(index > 0){
  5    /* Netlink ソケットを開く */
  6    if((sock = socket(AF_NETLINK, SOCK_RAW, NETLINK_ROUTE)) >= 0){
  7
  8        /* リクエストメッセージの組み立て (RTM_GETNEIGH = ARPテーブル取得) */
  9        memset(&req, 0, sizeof(req));
 10        req.nlh.nlmsg_len = NLMSG_LENGTH(sizeof(struct ndmsg));
 11        req.nlh.nlmsg_flags = NLM_F_REQUEST | NLM_F_DUMP;
 12        req.nlh.nlmsg_type = RTM_GETNEIGH;
 13        req.ndm.ndm_family = AF_INET; /* IPv4を指定 */
 14
 15        /* カーネルに問い合わせ */
 16        if(send(sock, &req, req.nlh.nlmsg_len, 0) >= 0){
 17                /* カーネルからの応答を受信・パース */
 18                while((status = recv(sock, buff, sizeof(buff), 0)) > 0){
 19                        struct  nlmsghdr    *nlh;
 20
 21                        for(nlh=(struct nlmsghdr *)buff; NLMSG_OK(nlh, status); nlh=NLMSG_NEXT(nlh, status)){
 22                            /* メッセージ終了(DONE)ならループを抜ける */
 23                            if((nlh->nlmsg_type == NLMSG_DONE) || (nlh->nlmsg_type == NLMSG_ERROR)
 24                                break;
 25
 26                            struct ndmsg *ndm = (struct ndmsg *)NLMSG_DATA(nlh);
 27                            /* 対象のインターフェースインデックスと一致しない場合や
 28                             * 完全に死んでいるもの (NUD_FAILED や NUD_INCOMPLETE) は除外する
 29                             */
 30                            if((ndm->ndm_ifindex != index) || (ndm->ndm_state & (NUD_INCOMPLETE | NUD_FAILED)))
 31                                continue;
 32
 33                            /* 属性(IPアドレスやMACアドレス)をパース */
 34                            struct  rtattr  *rta = (struct rtattr *)((char *)ndm + NLMSG_ALIGN(sizeof(struct ndmsg)));
 35                            int     rta_len;
 36
 37                                for(rta_len = nlh->nlmsg_len - NLMSG_LENGTH(sizeof(struct ndmsg));
 38                                            RTA_OK(rta, rta_len);
 39                                            rta = RTA_NEXT(rta, rta_len))
 40                                    /* NDA_DST が宛先IPアドレス(ARPテーブルのIP)を示す */
 41                                    if(rta->rta_type == NDA_DST)
 42                                        ipaddr[i++] = *(unsigned long *)RTA_DATA(rta);
 43                        }
 44                }
 45        }
 46        close(sock);
 47    }
    

IPアドレスとネットマスクを元にユニキャストアドレスを抽出

IPv4アドレスの一覧からブロードキャストアドレスやネットマスクなどの情報を除外して ユニキャストアドレスだけを抽出する処理です。

  1unsigned    long    target_ip,
  2                    my_ip,
  3                    netmask;
  4
  5/* 255.255.255.255 もしくは 0.0.0.0 は除外 */
  6if(target_ip == 0xffffffff || target_ip == 0)
  7    return 0;
  8
  9/* マルチキャストアドレス (224.0.0.0 - 239.255.255.255) を除外 */
 10/* target_ip の第 1 オクテットをチェック */
 11unsigned    char    *ip_bytes = (unsigned char *)&target_ip;
 12
 13if(ip_bytes[0] >= 224 && ip_bytes[0] <= 239)
 14    return 0;
 15
 16unsigned    long    network_addr = my_ip & netmask,
 17                    broadcast_addr = my_ip | ~netmask;
 18
 19/* ネットマスクもしくはブロードキャストアドレスを除外 */
 20if(target_ip == network_addr || target_ip == broadcast_addr)
 21    return 0;
 22else if(ip_bytes[3] == 255 || ip_bytes[3] == 0)
 23    return 0;
    

IPv4アドレスがネットワークに属しているか確認する

  1const   char    *net,
  2                *mask,
  3                *addr;
  4
  5if(inet_pton(AF_INET, network, &net) == 1 &&
  6    inet_pton(AF_INET, netmask, &mask) == 1 &&
  7    inet_pton(AF_INET, ipaddr, &addr) == 1){
  8
  9    // ネットワークアドレス側はすでにマスク済みの想定であれば、左辺のマスクは省略可能です
 10    return(addr.s_addr & mask.s_addr) == net.s_addr;
 11}
    

CIDR 形式にも対応させる

  1const   char    *net,
  2                *mask
  3                *addr;
  4
  5if(prefix >= 0 && prefix <= 32){
  6    if(inet_pton(AF_INET, network, &net) == 1 &&
  7            inet_pton(AF_INET, ipaddr, &addr) == 1){
  8        /* プレフィックス長からホストバイトオーダーでマスクを作成して
  9         * ネットワークバイトオーダー(ビッグエンディアン)に変換
 10         */
 11        uint32_t mask = htonl((prefix == 0) ? 0 : (~0U << (32 - prefix)));
 12
 13        return(addr.s_addr & mask) == (net.s_addr & mask);
 14    }
 15}
        

複数回実行される場合の高速化

ループ内など複数回実行される場合は文字や変換処理など inet_pton(3) がボトルネックになってしまうので、 あらかじめネットワークアドレスとネットマスクを数値データ (uinit_32) に変換して保持しておいた方が高速化できます。

  1/* ネットワーク情報を保持しておく構造体 */
  2typedef struct{
  3    uint32_t    net;
  4    uint32_t    mask;
  5} rule;
  6
  7/* あらかじめ IPv4 アドレスも unit32 に変換する */
  8uinit_32    addr;
  9
 10/* 判定処理は数値演算のみ */
 11return(addr & rule->mask) == rule->net;
        

2026/08/21

C 言語の変数定義

C 言語の変数定義は宣言部に若干クセがあるのでまとめました。

ローカル変数

変数のスコープが宣言されたブロックの内側に限定される変数です。 ブロックとは { と } の内側などで、一番判りやすいのは関数の宣言部分です。

以前は変数宣言はブロックの先頭のみで可能でしたが ISO/IEC 9899:1999 (C99) から任意の場所の変数宣言が可能となっています。

  1int     foo(void)
  2{
  3
  4    int     i;
  5
  6    i = 0;                  /* ローカル変数 */
  7
  8    {
  9        int     j;          /* ローカル変数 */
 10            :
 11    }
 12
 13    /* ここでは j は参照できない */
 14
 15}
    
ローカル変数の特徴を以下に示します。
  • スコープ (有効範囲)は宣言されたブロック内に限られます。
  • 関数の呼び出しごとに新しく確保され関数から戻るときに破棄されます。
  • 実体は基本的に後述するスタック上に置かれます。
  • 初期化しないと値は不定で内容は保証されていません。

グローバル変数

関数の外で宣言する変数です。

  1int     status;                 /* グローバル変数 (初期値は 0) */
  2
  3int     foo(void)
  4{
  5
  6    if(status == 1){            /* ファイル内のどこからでも参照できる */
  7        :
    
グローバル変数の特徴を以下に示します。
  • スコープはファイル全体です (extern を宣言する事で他ファイルからもアクセス可能)。
  • プログラム開始時に確保され終了するまで存在し続けます。
  • 明示的に初期化しなくても自動的に 0 で初期化されます。
  • 実体は実行ファイル内の「データ領域」に配置されます。
グローバル変数のうち、初期値を持つものは .data セグメント、 初期値を持たないもの (自動で初期化されるもの) は .bss セグメントに割り当てられるのが一般的です。

メモリレイアウトとスタック

典型的なプロセスのメモリ空間はアドレスの低い方から高い方へおおよそ次のように並びます。

テキスト領域
データ領域 (.data)
BSS 領域 (.bss)
ヒープ
↓
↑
スタック
←機械語コード
←初期化済みグローバル / static 変数
←未初期化グローバル / static 変数
←malloc(3) で動的に確保される領域
←関数ごとに利用される領域

ヒープとスタックが互いに向かって伸びていくため、両方が使いすぎて衝突すると「スタックオーバーフロー」などの問題が起きます。

スタックの動作(スタックフレーム)

関数を呼び出すたびに、スタック上に「スタックフレーム」と呼ばれる領域が積まれます。中身はおおよそ次のようなものです。

  • 呼び出し元に戻るためのリターンアドレス
  • 呼び出し元のベースポインタの退避値(スタックフレーム同士を辿るため)
  • 引数(レジスタ渡しの場合もあります)
  • その関数のローカル変数

具体的なスタック利用の流れ

  1int     add(int a, int b)
  2{
  3
  4    int result = a + b;     /* ローカル変数はこの関数のスタックフレームに置かれる */
  5
  6    return result;
  7    
  8}
  9
 10int     main(void)
 11{
 12
 13    int x = 3,
 14          y = 4;
 15    int z = add(x, y);      /* add() 呼び出し時に新しいスタックフレームが積まれる */
 16
 17    printf("%d\n", z);
 18
 19    return 0;
 20    
 21}
            
  1. main() が呼ばれるとスタックに main() 用のフレームが積まれ(プッシュ)、 スタック上に変数 x、y、z が確保されます。
  2. 関数 add(x, y) が呼ばれるとスタックにリターンアドレスなどを積んだ上で さらに add() 用のフレームが積まれ、引数 a、b、変数 result が確保されます。
  3. add() が return するとそのフレームはスタックから取り除かれ(ポップ)、 制御は main() に戻ります。 add() のローカル変数 (a、b、result) はこの時点で消滅します。
  4. main() が return すると、main() のフレームも取り除かれます。
この様な構造のため関数 add() で定義された変数 result は add() の外では参照できませんし、 参照しても値は保証されていません。

ダングリングポインタによる BUG

関数 add() を少し変更して文字列を操作する関数に変えてみます (例示のためなのでチェック処理やエラー処理などは実施していません)。

  1char    *add(char *a, char *b)
  2{
  3
  4    char    result[1024];               /* ローカル変数はこの関数のスタックフレームに置かれる */
  5
  6    snprintf(result, sizeof(result), "%s%s", a, b);
  7
  8    return result;
  9
 10}
 11
 12int     main(void)
 13{
 14
 15    char    *x = "foo",
 16            *y = "bar";
 17    char    *z = add(x, y);         /* 関数 add() のローカル変数を参照 */
 18
 19    printf("%s\n", z);
 20
 21    return 0;
 22    
 23}
            
関数 add() はローカル変数 result のアドレスをリターンしていますが、 前述の通り result はスタック上に確保された変数のため add() のリターン後は値は保証されません。 リターンした値はスタックのアドレスを示していますが値は保証されていません。 そのため z の値は不定となってしまいます。 関数からローカル変数をリターンする場合は必ず値をリターンする必要があります。 C 言語の仕様として配列の名前を参照した場合は配列の先頭要素を指すアドレスとして扱われますので特に注意が必要です。 この様にローカル変数のアドレスをリターンする事をダングリングポインタと呼びます。

再帰とスタックオーバーフロー

このLIFO (Last In First Out) 構造のおかげで、 関数呼び出しが何段ネストしても各関数は自分専用の変数領域を持てますし、 再帰呼び出しでも呼び出し回数分のフレームが積み重なるだけで正しく動作します。 逆に言うと、再帰が深すぎたり、ローカルに巨大な配列を確保しすぎたりすると、 このスタック領域を使い切って「スタックオーバーフロー」を起こします。

  1void    recurse(int n)
  2{
  3
  4    char    buf[1024 * 1024];           /* 1関数呼び出しごとに 1MB 消費 */
  5
  6    recurse(n + 1);                     /* 再帰呼び出し (すぐにスタックが尽きる) */
  7
  8}
            
とは言っても再帰呼び出しする場合は staic 変数は BUG の原因となるので、 再帰呼び出しの可能性がある場合は static 変数は使わない方が良いです。

以下は static 変数を利用したために不正な値となってしまう階乗計算処理です。
  1int     count(int n)
  2{
  3
  4    static  int total = 0;              /* すべての再帰で共有される */
  5    
  6    total *= n;
  7    if(n > 0)
  8        count(n - 1);                   /* 再帰呼び出し */
  9
 10    return total;
 11
 12}
 13
 14int     main(int argc, char *argv[])
 15{
 16
 17    printf("%d\n", count(atoi(argv[1])));
 18
 19    return 0;
 20
 21}
            
この様な BUG の温床になってしまう事もあるので、 特に最近では再帰呼び出し自体を悪だとする風潮もある様ですが 再帰呼び出し便利なんですよね...ついつい使ってしまいます。

static 宣言

C 言語の static 修飾子は文脈によって複数の意味と効果を持っているので初心者の頃は混乱しがちです。 そもそも複数の効果を持つ修飾子を同じ名前にするな...と Dennis に言いたい。

関数内の static 変数

関数の内部での static 修飾子は記憶クラスを定義します。 static 指定の変数を定義すると変数は前述のデータ領域に置かれ関数が終了した後も値が保持されますが、 変数のスコープはローカル変数同様にブロックの内部のみとなっています。 以下の関数 foo() では最初に呼ばれた時のみ変数 i が 0 で初期化され、 呼び出し毎に i がインクリメントされます。 2 回目の呼び出しでは i は 2 に、10 回目の呼び出しでは i は 10 となります。 当然ですが関数 foo() の外側では i は参照できません。

  1int     foo(void)
  2{
  3
  4    static  int     i = 0;          /* 変数領域は .data に確保され初期値として 0 が設定される */
  5
  6    i++;
  7
  8}
        

ファイルのグローバル変数

グローバル変数への static 修飾子は変数のスコープを定義します。 static 指定の変数はスコープがファイル内に制限されます。 static 修飾子を指定しない変数は他のファイルで extern を指定する事で参照する事ができますが、 static 修飾子を指定された変数は extern 指定されても他のファイルからは参照できません。

  1/* ファイル foo.c */
  2static  int     result;         /* 他のファイルから参照不可 */
  3        int     status;         /* 他のファイルから参照可能 */
  4
  5    :
  6
  7/* ファイル bar.c */
  8extern  int     status;         /* foo.c の status を参照 */
  9extern  int     result;         /* foo.c の result は参照できない (通常はコンパイル時にリンクエラーとなる) */
 10
 11    :
        

関数の指定

関数の宣言に static 修飾子を指定した場合はファイルのグローバル変数同様関数のスコープを定義します。 static 修飾子を指定した関数はスコープがファイル内に制限されます。 static 修飾子を指定しない関数は extern 指定する事で他のファイルからも呼び出す事ができますが、 static 修飾子を指定された関数は extern 指定されても他のファイルからは呼び出せません。

まとめ

グローバル変数は値を保持しグローバルに参照できるので便利な変数です。 しかし、多用すると処理全体の見通しが悪くなったり関数の独立性が阻害されてしまうので、 どうしても必要な場合に限ったほうが良いでしょう。


ローカル変数 グローバル変数
宣言位置 関数 / ブロック内 関数外
スコープ そのブロック内のみ ファイル全体 (extern で他ファイルも可)
記憶域期間 自動 (関数終了で消滅) 静的 (プログラム終了まで存在)
確保場所 スタック (static 以外) データ / BSS 領域
初期値 不定 自動的に 0
主なリスク スタックオーバーフロー、ダングリングポインタ 名前衝突、意図しない状態共有によるバグ、マルチスレッドでの競合

2026/08/20

Cシステムコールとライブラリ関数

C 言語からコールする関数には大きく分けて システムコール と ライブラリ関数 の2種類があります。
どちらも関数呼び出しの見た目をしているため区別がつきにくいのですが、実行時の仕組み、コスト、権限モデルはまったく異なります。
そこで、両者の定義と違いを整理したうえで、システムコール実行時に発生するコンテキストスイッチが OS やアプリの性能にどのような負荷・影響を与えるかを簡単に解説します。

システムコール

システムコールとは、ユーザー空間で動作するプログラムがカーネルの機能を利用するための唯一の手段です。
man 2 open のようにマニュアルのセクション 2 に分類されています。

システムコールには open(2)、read(2)、write(2)、socket(2) などがあります。

CPU には一般に実行できる命令や参照できるメモリ領域に制限のある「ユーザーモード」と、 すべての命令、メモリ空間、I/O ポートにアクセスできる「カーネルモード (特権モード)」の2つの動作モードがあります。 Unix や Linux を始めとするモダンな OS では、アプリケーションプログラムは基本的にユーザーモードで動作していて、 ディスクへの直接アクセスやプロセス管理などの危険な操作はハードウェア的に禁止されています。 そこで、こうした操作が必要な場合は CPU に用意された特別な命令を実行して、 CPU のモードをユーザーモードからカーネルモードへ切り替える必要があります。 Unix や Linux においてこの切り替えを実行するのがシステムコールです。

ライブラリ関数

ライブラリ関数は C 標準ライブラリ (libc) やその他のライブラリが提供するユーザー空間だけで完結する通常の関数です。
man 3 printf のようにマニュアルのセクション3に分類されています。

ライブラリ関数の分類

ライブラリ関数は大きく 2 種類に分類できます。
  1. システムコールを呼び出さない純粋なライブラリ関数
  2. strlen(3)、 sin(3) などで、これらは文字列操作や CPU 上での計算処理のみで完結しカーネルには影響しません。

  3. 内部でシステムコールをラップしているライブラリ
  4. fopen(3)、fread(3)、printf(3) などで、 これらは最終的に内部で open(2)、read(2)、write(2) といった システムコール発行していますが、 その前後でバッファリング、書式変換、エラー処理の付加などユーザー空間側の便利な処理を行っています。

たとえば fwrite(3) は、呼び出しのたびにシステムコール write(2) を発行するわけではなく、 FILE 構造体が持つユーザー空間のバッファにデータを蓄積して、バッファが一杯になった時、 あるいは fflush(3) や fclose(3) が呼ばれた時にまとめて write(2) システムコールを発行する事で、システムコール呼び出し回数を減らし性能を大きく向上させています。

ライブラリ関数には fopen(3)、fread(3)、fwrite(3) などがあります。

コンテキストスイッチ

コンテキストスイッチとは、CPUがあるコンテキストから別のコンテキストへ切り替える処理全般を指します。

コンテキストスイッチの種類

コンテキストスイッチには大きく分けて 2 種類あります。
  1. モード切り替
  2. 前述したカーネルモードとユーザーモードの切り替えです。
    このタイプのコンテキストスイッチはシステムコール発行や割り込み・例外発生時に起こります。 同一プロセス内での切り替えであり、後述する「プロセス切り替え」よりコストは小さいですがそれなりに負荷やコストがかかります。

  3. プロセス切り替え
  4. OS のスケジューラがプロセス/スレッドの実行を中断して別のプロセス/スレッドに実行を渡す処理です。 タイムスライスの満了、I/O 待ちによるブロック、割り込みによるプリエンプションなどで発生します。 ページテーブル (= アドレス空間) 自体が切り替わるためモード切り替えよりもさらにコストが大きくなります。

システムコールは、必ずモード切り替えを伴います。 更にそのシステムコールの処理が入出力など I/O 待ちなどでブロックが発生する場合には さらにプロセス切り替えを誘発することもあります。

コンテキストスイッチのシステム負荷・影響

モード切り替え(システムコール発行)のコスト要因

システムコールを 1 回発行するだけでも以下のような処理コストが発生します。
  • レジスタの退避・復元
  • 呼び出し元の CPU レジスタ一式をカーネルスタックへ保存し復帰時に復元します。

  • 特権レベルの遷移
  • CPU 内部の カーネルモードへの遷移、および復帰時のユーザーモードへの遷移で、CPU の内部的な検証・準備処理を伴います。

  • パイプラインフラッシュ・投機実行のリセット
  • モード遷移命令は CPU の命令パイプラインをある程度フラッシュさせ、 投機実行による先読みの効果を失わせます。

他にも TLB (Translation Lookaside Buffer) やキャッシュの汚染(cache pollution)、 セキュリティ機構によるオーバーヘッドなど、様々な影響があります。

これらの要因により、単純なシステムコール 1 回の呼び出しコストは、通常の関数呼び出しと比較して 100 から 1000 倍以上のコストがかかります。

プロセス/スレッド切り替えのコスト要因

システムコールがブロッキング I/O などで待ち状態に入ると、 OS のスケジューラは別のプロセス/スレッドを実行するためにプロセス切り替えを行いますが、 これには前述のモード切り替えのコストに加えて以下のコストが上乗せされます。
  • ページテーブルの切り替え
  • アドレス空間が完全に入れ替わるためTLB 全体が無効化されます。

  • スケジューラの実行コスト
  • 次に実行すべきプロセス / スレッドを選択するためのスケジューラの処理が実行されます。

  • キャッシュの入れ替え
  • キャッシュに載っていた前プロセスのデータ・命令が新しいプロセスのアクセスによって徐々に追い出される事により、 キャッシュミス率が一時的に急増して実行速度が低下します。

これらの処理が実行されるため、プロセス切り替えのコストはモード切り替え単体よりもさらに大きくなってしまいます。

頻繁なシステムコールがもたらすシステム全体への影響

例えばアプリケーションが 1 バイトずつ read(2) や write(2) システムコールを呼び出すような設計をすると、 以下のような問題が顕在化します。
  • スループットの低下
  • システムコール自体のオーバーヘッドがボトルネックとなり本来の I/O 帯域を活かせなくなります。

  • CPU 使用率の増加
  • ユーザー時間ではなくシステム時間として CPU 時間が消費されてしまうので、システムの実行時間が高くなります。

  • キャッシュ効率の悪化
  • 頻繁なモード切り替えにより CPU キャッシュのヒット率が下がり、 システムコールを呼ばないコードパスの実行速度まで間接的に低下し、結果としてシステム全体のパフォーマンスが低下します。

  • スケーラビリティの低下
  • マルチコア環境では頻繁なシステムコールがカーネル内部の共有データ構造の競合を引き起こすので、 コア数を増やしても性能が線形にスケールしない原因となり得ます。

  • レイテンシのジッター増加
  • 割り込みやシステムコールによるコンテキストスイッチが頻発すると、リアルタイム性が求められる処理でジッターが増加します。

まとめ

システムコールはカーネルが提供するハードウェア資源にアクセスするための唯一の方法で、 呼び出しの都度、CPU のコンテキストスイッチが発生します。 一方ライブラリ関数は、多くの場合ユーザー空間だけで完結し、 内部でシステムコールをラップしている場合でもバッファリングなどによって呼び出し回数を抑える設計がされています。 プログラムの要件や仕様などでライブラリ関数では機能が不十分だったり、 特殊な制御が必要な場合以外はライブラリ関数を利用するのが好ましいです。

付録

具体例による比較を実施してみました。実行時間の計測はどちらも Intel CPU 上で稼働する Linux にて実施しました。

システムコールを利用する場合

1 バイト書き込むたびにシステムコール (=モード切り替え) が発生するため、コンテキストスイッチのコストが積み重なり著しく遅くなります。
  1#include <unistd.h>
  2#include <fcntl.h>
  3
  4int main(void)
  5{
  6
  7  int       fd,
  8                i;
  9
 10    if((fd = open("out.txt", O_WRONLY | O_CREAT, 0644)) >= 0){
 11        for(i=0; i<100000; i++)
 12            write(fd, "x", 1);
 13        close(fd);
 14    }
 15    
 16  return 0;
 17
 18}
        
$ time ./syscall

real    0m0.124s
user    0m0.018s
sys     0m0.106s
        

ライブラリ関数を利用する場合

ユーザー空間でバッファリングしてからまとめて write(2) を呼ぶため システムコール発行回数が数百分の一以下に抑えられ高速に動作します。
  1#include <stdio.h>
  2int main(void)
  3{
  4
  5    int     i;
  6  FILE  *fp;
  7
  8    if((fp = fopen("out.txt", "w"))){
  9        for(i=0; i<100000; i++)
 10            fputc('x', fp);
 11        fclose(fp);
 12    }
 13  
 14  return 0;
 15
 16}
        
$ time ./library

real    0m0.003s
user    0m0.001s
sys     0m0.001s
        

2026/01/17

今年2回目のキャンプ

今年2回目のキャンプは友人とのデュオキャンプです (今年最初のキャンプは写真を全く撮影していませんでした) 。
今回も TOMOUNT の TC LODGE TENT です。
この時期は幕内で薪ストーブが運用できる TC 素材のテント一択になりますね。

しかし TOMOUNT の TC LODGE TENT はネットを検索してもあまり情報が出てきませんね。
公式サイトにも情報が載っていない気がします。ま、良いんですけどね...

Image: 20260117_032855156_iOS.jpg

薪ストーブも TOMOUNT 製です

ランチの後は例によって珈琲タイムです。
珈琲のためにキャンプに来ていると言っても過言ではないです (いや、過言ですが)。
自然の中でのんびりと淹れる珈琲の何と美味しい事でしょう。癒やされます。

Image: 20260117_040924134_iOS.jpg

珈琲タイム


Image: 20260117_041253609_iOS.jpg

挽きたての豆はドームの盛り上がりが良いですね

設営後はかねてから気になっていた 小糸川温泉 に行ってきました。
ぬるぬるで真っ黒の温泉で最初はすこしびっくりしますが入浴するととても気持ちが良い温泉です。
当日はボイラー故障の影響でシャワーやカランのお湯が利用できませんでしたが浸かるにはいい感じです。
休憩室もあり昼食時は簡単な食事も出来る様なので機会があれば食べてみたいです。

Image: 20260117_054752773_iOS.jpg

温泉入口


Image: 20260117_063126840_iOS.jpg

道路に面した看板

この時期のキャンプはテントに籠もって薪ストーブで暖を取っていて 焚き火をしていない事が多いので今回は久々に焚き火をしてみました。
久々ですが焚き火は良いですね。

Image: 20260117_070032231_iOS.jpg

焚き火



焚火を楽しんでいると飼い猫 (いついてる猫) のオセロちゃんが向かいのサイトで遊んでいました。
しっぽが可愛かったのでついつい動画におさめてしまったのでこちらもご覧ください。


この日は1月にしては暖かくて昼間は快適でした ( 夜はそれなりに冷えましたけどね)。

Image: 20260117_052313690_iOS.jpg

CX-5 とテント

2025/12/27

年末厳冬キャンプ

例によって柿山田で今年最後のキャンプをしてきました。
ソロでは久々の Fox-Base EVO です。

Image: 20251227_041034151_iOS.jpg

広くて快適です

ランチは手軽にシーズコアのパスタキット (ペペロンチーノ) です。
このシーズコアのキットは必要なものが全て同梱されていて、 水だけでパスタが作れるので忙しい時や手抜きする時に便利です。

Image: 20251227_043950170_iOS.jpg

マナスル + メスティンでお手軽調理


Image: 20251227_044518573_iOS.jpg

出来上がりました

夕方で 6 度程度とそこそこの気温です。 さっそく薪ストーブに火を入れてぬくぬくお籠りキャンプの開始です←早すぎ。

Image: 20251227_064618132_iOS.jpg

外気温6度


Image: 20251227_064728818_iOS.jpg

薪ストーブとストーブファンは最強です

アペタイザーとしてマルチグリドルで焼いた焼売をいただきます。 この焼焼売が美味しいんですよね...

Image: 20251227_085001446_iOS.jpg

焼焼売

メインは薪ストーブを使った鍋料理です。 適当な具材を放り込んだ鍋でよく言えば「ちゃんこ風鍋」でしょうか。
自宅から持参した白菜、水菜、大根、油揚げに スーパーで買った蟹缶、ホタテ缶、そしてたまたま見つけた鶏つくねを放り込んで塩、醤油、酒、みりんで雑に味付けしました。

Image: 20251227_094311758_iOS.jpg

とっても美味しゅうございました

寒波が襲来している様で夜はどんどん冷えていきます。
おかげで星空はとっても綺麗でした。

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iPhone 撮って出し

明け方の気温はなんと -4度まで下がっていました。 車も真っ白でした。

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明け方の気温


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エルサが来たのか?

そんなこんなで今年最後のキャンプは無事に終了しました。

今年も一年ありがとうございました!

2025/11/29

TOMOUNT TC LODGE テント初張り

TOMOUNT の TC LODGE テントを入手したので試し張りをかねてキャンプして来ました。
場所? もちろん例によって柿山田ですとも(本当にそこしか行くところがないのか?

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TOMOUT TC LODGE

このテントの何が素晴らしいかってフレーム1本で自立するロッジ型/パップ型のテントなんです。
しかも燃えづらいポリコットン (TC) 素材で煙突穴まで装備されています (穴は開いてないですがフラップまでは準備されています)。
サイズは FOX-BASE EVO やショウネンテントと比較すると狭めですがソロならば薪ストーブ in しても十分快適に過ごせます。

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特徴的なフレーム構造

最大間口は 300cm で奥行きは 237cm なので内部は薪ストーブとコットを設置してもまだ余裕です。
高さはさすがに 130cm と低いのですが割り切って使う分には問題ないですかね。
それよりも総重量が 7.7 Kg と TC テントにしては軽いので設営、撤収、運搬が楽です。 ポール1本で自立できるのもポイント高いです。

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コットを設置してもこの広さ

ポールは別売りになりますが前幕を跳ね上げる事もでき簡単な雨除けの屋根にになります。
TC 素材なのでこの下で焚き火する事もできると思います (危険なので非推奨です。自己責任でやってくださいね)。

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前幕を跳ね上げました

薪ストーブを in すると快適な空間となりました。 前幕を全開にしていると薪ストーブの暖気は殆ど抜けてしまいますが閉めればぬくぬくな快適空間です。

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珍しくルミヌードルで飾っています

前後左右が開くのでシュルターやタープとしても利用可能です。 ベンチレーションやランタンフック、メッシュタイプの吊り下げ式インナーまで標準で付属して 2万円台なので超お得なテントです。

2025/11/08

雨予報の中ソロキャンプを強行しました

この日はは深夜から雨の予報でしたが予約もしちゃったので強行しました。
テントは薪ストーブ in するので DoD のショウネンテント、 撤収はほぼ確実に雨なので撤収時のスペース確保のため久々にヘキサタープを張りました。

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ショウネンテント + ヘキサタープ

11月の声を聞くといよいよ寒さが厳しくなってきます。
そして寒いといえば武井くんの出番! 今年も快適な温もりをよろしくおねがいしますっ!
去年入手できた 501 は燃焼時間が長いので助かります。

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パープルストーブ 501

よく見るとごちゃごちゃしていますがパッと見はいい感じの写真が撮れました (拡大禁止(笑

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サムネイルだけならいい感じ♪

夕食は薪ストーブによる簡単調理です。
マルチグリドルでソーセージを焼いたら冬の定番の坦々餃子鍋。 〆は偶然見かけた山頭火のチャーシューを使った坦々風ラーメンです。←これが絶品に美味しいかったです!

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マルチグリドルで焼きソーセージ


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定番坦々餃子鍋


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〆のラーメン

夜半過ぎから結構な雨が降ってきました。 タープにも水が大量にたまっています
夜のうちに片付けられる荷物は全て片付けたので朝の片付けは楽な方ですが雨の中の撤収はつかれますね。 (ま、判りきっていた事なんですが...)

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雨の撤収


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